

これが「DAYTONA SPEEDER」開発のスタートでした。目的達成のため、まずはコストを考えずに地球上にある最高の材料を使い、徹底的に飛距離性能を追求しました。ひとつは、この世でもっとも硬い「90tカーボン」。そして、「DIAMOND SPEEDER」で採用した高性能中弾性炭素繊維「“パイロフィル®”MR70」、「PLATINUM SPEEDER」で使用した高強度・高弾性率炭素繊維「トレカ®T1100G」を積層。この3つの高品質素材をまとめて全長に採用したのは今回が初めてです。また、これまで以上に樹脂含有率が低く、カーボン繊維の比率が高い「RC15%」の超低樹脂カーボンシートも初めて積層。無駄な動きを排除し、より強靭なしなり戻りを生み出す素材です。これらの4つの素材を効果的に使うことで、飛距離性能をかなりのレベルまで高めることができました。
しかし、実際にヒューマンテストをすると、「何かが足りない」という印象が残りました。その何かとは、「感動」です。インパクトしたときに、「飛ばしている!」というフィーリングに物足りなさがあったのです。この問題をクリアするには、シャフト先端を補強する必要があります。様々な材料、設計を変えてテストを繰り返しましたが、なかなか理想の打感には辿り着くことができず……。そんな時に東レさんから発表されたのが「“トレカ®”M40X」。従来の炭素繊維と同等の弾性率を持ちながら、強度が約30%向上した高品質素材です。この新素材を採用したことで、最高の飛距離性能、弾き感、打感を実現することができました。
ところで、カーボン繊維は元々特徴が激しい素材なのですが、今回使用しているカーボンはその中でもクセの強い素材ばかり。単純に組み合わせただけでは素材同士がケンカをしてしまいます。そこで、金属繊維のボロン繊維を使って個性の強い素材群をまとめ上げました。最高の飛距離性能がありながら、最高の振り心地、安定感があるのはボロン繊維の影響が大きいですね。
目的達成のためにメーカーの縛りなくあらゆる素材を採用できる点、高品質素材同士をコンポジットする技術力、そして高品質素材を成型する開発力。これらは全て弊社のストロングポイントです。「DAYTONA SPEEDER」はフジクラらしさが詰まった現段階での最高のモデルに仕上がったと自負しています。
2018年の年末に発表された東レの新素材「M40X」は、従来の炭素繊維と同等の弾性率を保持したまま、強度が約30%も向上した高性能素材。この炭素繊維をフジクラシャフトで初めて採用。
また、この世で最も硬い「90tカーボン」や三菱ケミカル「“パイロフィル®”MR70」、東レ「“トレカ®”T1100G」をフルレングスで積層し、強靭さとしなやかさの共存に成功。
最大級の加速感、ボール初速を実現している。
これらの特長が際立ったカーボン素材群をしなやかにまとめ上げているのが「ボロン繊維」だ。高強度、高剛性、高弾性率の金属繊維を使うことで、再現性、安定性を確保している。